「で」「にて」「を以って」は、時間(例文1)や動作の場所(例文2)、また手段や方法(例文3)を表す助詞です。多くの場合、「にて」と「を以って」は「で」に置きかえることができますが、「で」を「にて」や「を以って」にはかえられないことがあります。
例文1の「…2時間半で…」の中の「で」は「にて」や「を以って」にかえると、少し不自然になります。
例文2と3の「にて」と「を以って」は「で」におきかえられます。
また違いとして、「にて」や「を以って」は、「で」に比べて、かたくて形式的(フォーマル)で書き言葉のような形となるので、会話では、「で」を使うことが多いです。その他の例としては:
・受付(うけつけ)は3時で終わりました(=3時にて終わりました=3時を以っておわりました。)
その他、原因や理由を表す時に3つの助詞が使えますが、会話では「で」を使うほうが自然です。
・かぜで学校を休みました。
・雷(かみなり)で停電(ていでん)しました。
また場所を表す使い方で、「いる」や「ある」という動作を表す場所には「で」を使えません。その場合は、「に」を使ってください。例えば、「彼は部屋にいます。」となりますので気をつけてください。
「で」の使い方は、その他いろいろあります。例えば、材料を表す時:「紙で飛行機をつくれます」
また主語や主体をあらわす「が」のかわりに「で」を使うこともあります。例えば:「けいさつで(が)調べています」や「子供たちで(が)作りました」などです。
「で」「にて」どちらも手段・方法、時間・場所、理由、原因を示す格助詞。
どちらを使っても良いと思いますが、「にて」は古くからある言葉で格式が高く、丁寧な印象を与えるので硬い内容の文章や改まった丁寧な言葉遣いのとき使うことが多いです。
例
◎本日の営業は7時にて終了させて頂きます。
本日の営業は7時で終了させて頂きます。
◎大阪駅にてお乗り換え下さい。
大阪駅でお乗り換え下さい。
「で」「にて」どちらを使っても間違いではないですが「にて」の方が一層丁寧に聞こえますので、話す相手や場面で使い分けれるようになればいいですね。
ただ、文章や会話にあまり「にて」を使いすぎると不自然になるので注意しましょう。
「以って」は「手段・方法・材料」「原因・理由」「動作・作用が行われる際の状態」「動作が行われる時」「語調を強める」など沢山の意味をもちます。やや古風で堅いニュアンスがあり、そのため日常会話ではあまり使われませんが、ビジネス文書やあらたまった席でのスピーチなどではよく使われる言葉になっている言葉です。
例
本日を以って引退します。・・・時を表す。
あなたの考えはまったく以って理解できない。・・・協調
誠意を以って対応する・・・手段・方法
誠に以って遺憾であります・・・協調
社内規約違反を以って休職いたします。・・・理由・原因
【参考】格助詞(かくじょし)=自立語の中で、活用がなく、主語となることのできるものについて文中で他の語とどんな関係にあるかを示す助詞。
【参考】正しいのは「以て」という表記です。「以って」が最近広く用いられている理由は、発音をそのまま文字化した解り易さにあるといわれています。
☆以って
本日(ほんじつ)を以って(もって)閉店(へいてん)
「定年(ていねん)を以って本日付(ほんじつづけ)で退職(たいしょく)する」
日時(にちじ)のあとに用いて(もちいて)区切(くぎ)りや期限(きげん)をあらす。
☆にて
場所(ばしょ)・時間(じかん)・手段や方法)(しゅだんやほうほう)・材料(ざいりょう)・原因や理由(げんいんやりゆう)・状態(じょうたい)
場所:「~の場所(ばしょ)で」という意味(いみ)で、「~にて」という形(かたち)で用います。(もちいます)
横浜(よこはま)にて「イベントが開催(かいさい)される
時間:4月20日にて、演奏会(えんそうかい)を開催(かいさい)するので良かったら(よかったら)見に来てください(みにきてください)。
手段:手段や方法として使う(つかう)乗り物(のりもの)や道具(どうぐ)などに対して(たいして)用います。明日は飛行機にて大阪へ向かいます。
材料:ある物事(ものごと)を作る(つくる)材料(ざいりょう)をあらわす
今日(きょう)の料理(りょうり)は塩(しお)コショウにて味(あじ)つけしています。
原因や理由:ある物事が起きた(おきた)原因や理由をあらわす。
台風(たいふう)にて延期=台風が原因で延期(えんき)
状態:
彼(かれ)の政治生命(せいじせいめい)は、総理大臣(そうりだいじん)になれず大臣(だいじん)にてに終わって(おわって)しまった。
☆で
動作(どうさ)・作用(さよう)が行われる場所・期限(きげん)・原因(げんいん)などをあらわす。
①動作(どうさ)・作用(さよう)が行われる場所
⇒家(いえ)で勉強(べんきょう)する。
②期限(きげん)
⇒これを1日(にち)で終わらせる(おわらせる)
③原因(げんいん)
地震(じしん)で電車(でんしゃ)が止まった(とまった)
ありがとうございました♪